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メンタルヘルス 2020.11.25

部下の休職・離職で陥る負のスパイラルの原因

部下の休職・離職で陥る負のスパイラルの原因


なぜ、休職・離職が経営上の大きな課題になっているのか


エン・ジャパンが2016年に実施した調査によると、離職率は以前と比べて「高くなった」「やや高くなった」と答えた企業は25%でした。4社に1社は離職率の上昇に悩んでいるわけです。さらに自社の離職率について「高すぎる」「高い」と回答した企業は全体の41%に上ります。


厚生労働省の「雇用動向調査」によると、2017年の全業種における1年間の平均離職率は、14.9%となっています。
これは従業員が1000人の職場で年間15人、50人の職場であれば年間7~8名が離職するという状態です。


皆さんもご存じのように、業種によってはさらに離職率が高いところもあります。 例えば宿泊業・飲食サービス業の同年の離職率は、平均の倍にあたる30%です。
次いで、生活関連サービス業・娯楽業も、22.1%と高くなっています。他に教育・学習支援業、卸売業、小売業、医療福祉、情報通信業といった業種も、比較的離職率が高い傾向にあります。


離職率には業種のほか、事業規模や社員の平均年齢、最終学歴なども影響しますが、自社の離職率が全国平均を上回っている限り、「やはり離職率が高いな」と痛感された方もいるでしょう。汎愛に、大体平均と同じくらいか、それ以下と知って、ほっとした方もいるかもしれません。
意外かもしれませんが、全国平均での離職率はこの15年余りでほとんど変わっていません。年によって多少の差はあるものの、おおむね15~16%前後で推移しています。 人材の流動性という点では、ある程度の離職があるのは自然なことです。


それでも近年、休職・離職が経営上の大きな課題になってきているのは、日本の労働生産人口が減少しているためです。
休職・離職した人員の代わりに新しい人材を採用したくても、採用できない時代が来ています。


離職率の高さがもたらす大きな採用課題

総務省の調査によると、2018年の日本の生産年齢人口(15~64歳)は、7484万3915人です。

ピーク時の1995年に比べ、すでに1万数千人も減少しています。特に2010年ごろからは団塊の世代が定年退職を迎え始めた一方、新しく就労する若い世代は少子化で人数が少ないため、働き手不足が加速しています。
しかも、生産年齢人口減少は一次的な減少ではありません。今後もどんどん減り続け、次の30年でさらに2万人以上減少し、5万人程度になると予測されています。


こうした流れの中で2018年の有効求人倍率は1・61倍と、45年ぶりの高水準となっています。
つまり過去にほとんど例がないほど、今は採用のハードルが上がっているうえ、今後もその状態が続くのです。


離職率が変わらず、新たな採用も進まない状況が続くと当然、働き手の数が減っていきます。すると、以前より少ない人員で業務を回さなくてはならず、長時間労働などで個々の社員の負担が高まり、それがまた新たな休職・離職を招くことにつながります。
まさに負のスパイラルです。


もし仮に、採用に最大限の力を注いで人を採用したとしても、それだけで問題が解決するわけではありません。
離職率が高い状態が続くと、社員の入れ替わりも多くなります。全国平均の離職率15%というのは理論上、7年で社員がすべて入れ替わることを意味します。離職率が20%なら、5年で総入れ替えとなります。
短期間でどんどん人が入れ替わっていくと、業務のノウハウやスキルが蓄積されず、組織としての成長や業績向上につながりにくくなります。
要するに高い離職率を放置していて、採用に予算や労力をかけ続けるのは、言ってみれば「穴の空いたバケツに水を注ぎ続ける」のと同じです。そんな無駄なことは本来、誰もしたくないでしょう。


次回は「今までに軽視されてきた部下の心のケア」についてご紹介いたします。

この記事の監修


株式会社Avenir 代表取締役 刀禰真之介


株式会社Avenir
代表取締役 刀禰真之介

株式会社メンタルヘルステクノロジーズ代表取締役。
デロイトトーマツコンサルティング株式会社(現アビームコンサルティング)、UFJつばさ証券(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)株式会社、株式会社環境エネルギー投資などを経て、株式会社Miew(現メンタルヘルステクノロジーズ)を設立し、代表取締役に就任。その後、同社の100%子会社としてAvenirを発足し、代表取締役就任。

【著書】
部下の心が折れる前に読む本

部下の心が折れる前に読む本